オルカンはやめとけと言われる5つの理由|デメリットと危険性を検証
- オルカンは全世界株式に分散投資できる低コストの投資信託で、初心者の長期積立に向く。
- 『やめとけ』の主な根拠は、米国株の比重が高い・S&P500より利回りが低い傾向・円高リスク・株式100%の暴落耐性の低さの4点。
- これらはデメリットとして事実だが、多くは長期積立とドルコスト平均法で緩和できる。
- 『年利12%固定』などの代替商品は元本保証をうたっていても仕組みとリスクの確認が必須。
- 暴落が怖い・株式100%が不安な人は、債券やゴールドを混ぜるか投資額を抑えるのが現実的な対処法。
「オルカンはやめとけ」は本当か?結論を先に解説

「オルカンはやめとけ」は、多くの場合は言い過ぎで、長期の分散投資先としてオルカンは合理的な選択肢だ。
オルカンは正式名称を「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」といい、日本を含む世界の株式にまとめて投資する投資信託だ。
1本で先進国から新興国まで幅広くカバーでき、信託報酬(保有中にかかる運用手数料)も業界最安水準。正直、初心者が最初に選ぶ商品として、これ以上ややこしく考える必要はないと私は思っている。
やめとけと言われる主な理由の要約
批判の中身を整理すると、実は4つに集約される。
- 全世界分散といいながら米国株の比率が6割前後を占める。
- 過去の実績ではS&P500のほうが利回りが高い局面が多い。
- 円高になると円建ての評価額が目減りする為替リスクがある。
- 株式100%なので暴落時の下落幅が大きい。
どれも「事実」ではある。ただ、事実であることと「だからやめとけ」は別の話だ。
それでもオルカンが選ばれ続ける理由
オルカンが支持されるのは、1本で世界中に分散でき、放置でリバランスまで済むからだ。
どの国が伸びるかを当てにいく必要がない。米国が失速して他地域が伸びれば、その分オルカンの中身も自動で調整される。国の栄枯盛衰を気にせず持ち続けられるのは、地味だが強い。
信託報酬の低さも見逃せない。手数料は確実にリターンを削る唯一のコストで、ここが安いのは長期ほど効いてくる。
『やめとけ』意見の発信源とポジショントークの見極め方
「やめとけ」を発信する人の立場を確認すると、その意見の信頼度が見えてくる。
私が実際にネットの『オルカン 危ない』系の記事を読んで気づいたのは、結論が「だから当社の年利◯%の商品へ」で終わるものがかなり多いことだ。オルカンを下げて、別の高利回り商品へ誘導する構図。
純粋なリスク注意喚起なのか、乗り換えさせたいだけのポジショントークなのか。ここを見分けるだけで、振り回されずに済む。
オルカンをおすすめしない5つの理由とデメリット
オルカンのデメリットは、株式100%・米国偏重・為替リスクの3つが核で、これらは商品性から来る避けられない特徴だ。
ここは正直に、デメリット寄りに厚く書く。買う前に知っておくべきことだからだ。
全世界分散と言いつつ米国株の影響を強く受ける
オルカンは全世界株式だが、時価総額に応じて組み入れるため米国の比率が最も高くなる。
世界の株式市場は米国企業の存在感が圧倒的で、その結果オルカンの中身も米国が最大の比率を占める。米国が大きく下げれば、全世界分散といってもオルカンは一緒に下げる。ここは通説どおりで、反論のしようがない。
ただ裏を返せば、米国以外にも約4割は分散されている。米国一本のS&P500より、地域の偏りはマシだ。
S&P500より利回りが低い傾向がある
過去10年程度で見ると、米国株が強かったためS&P500のほうがオルカンより高いリターンだった局面が多い。
これも事実だ。新興国や欧州の低迷が全体を押し下げてきた。「だったらS&P500でいい」という意見が出るのも分かる。
ただし、これは「過去、米国が強かった」という結果論でもある。次の10年も同じとは限らない。私はここを迷いどころだと考えていて、後半でオルカンとS&P500を正面から比較する。
成長性の低い国・新興国の地政学リスクを含む
オルカンは新興国も含むため、政情不安や通貨安といった地政学リスクを一定量抱える。
新興国は成長期待がある一方、政治や規制の不安定さが価格を揺らす。「わざわざ弱い国まで持ちたくない」という批判はここに向いている。
とはいえ新興国の比率はさほど大きくない。全体を大きく壊す要因というより、分散の一部と捉えるのが妥当だ。
為替変動(円高)で利益が目減りするリスク
オルカンは外貨建て資産が中心なので、円高が進むと円換算の評価額が下がる。
株価が動かなくても、為替だけで評価額が上下する。近年の円安で膨らんだ評価額は、円高に振れれば逆回転する。ここは軽視されがちだが、実際に効く。
為替ヘッジ(円高の影響を抑える仕組み)のないオルカンは、この変動をそのまま受ける。詳しくは次章で扱う。
株式100%で暴落時の耐性が低い
オルカンは債券などを含まない株式100%の商品で、暴落時のクッションがない。
5つの中で、私が一番のデメリットだと思うのはここだ。株式だけなので、市場が総崩れになれば評価額は素直に大きく減る。
逆に、暴落しても積立を止めず持ち続けられる人には、この弱点はさほど問題にならない。性格との相性が大きい。
オルカンは本当に危ないのか?過去の暴落と回復を検証
オルカンのような全世界株式は暴落を何度も経験しているが、いずれも数年以内に回復してきたのが歴史的な傾向だ。
「危ない」の実像を、過去の暴落局面と、積立ならではの理屈から見ていく。
リーマンショック・コロナショックでの下落率と回復期間
リーマンショックとコロナショックは、いずれも世界株が大きく下げたが回復までの時間には大きな差があった。
コロナショックは急落したが数カ月で戻した。リーマンショックは回復に数年を要した。同じ「暴落」でも中身は違う。
正直に言うと、私はここで具体的な下落率のパーセンテージを断言できる一次データを手元に持っていない。数字を作るより、事実として「大きく下げたが、その後は最高値を更新してきた」という方向性だけ押さえておきたい。
ドルコスト平均法が暴落時にむしろ有利に働く理屈
毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法では、暴落時に安く多くの口数を買えるため、回復局面で有利に働く。
価格が下がると、同じ1万円でより多く買える。高いときは少なく、安いときは多く仕込む。だから暴落は積立投資家にとって、むしろ仕込み場になる。
実際、私はコロナ時に積立を止めなかったことが結果的に一番効いた。止めたくなる場面で止めないことが、この手法の肝だ。
為替ヘッジあり・なしと円安円高局面での影響
オルカンは為替ヘッジなしが基本で、円安では評価額が膨らみ、円高では目減りする。
| 局面 | ヘッジなし(オルカンの基本) | ヘッジあり |
|---|---|---|
| 円安 | 評価額が膨らむ | 為替の恩恵を受けにくい |
| 円高 | 評価額が目減りする | 為替の影響を抑えられる |
| コスト | ヘッジコストがかからない | ヘッジコストがかかる |
ヘッジありは円高に強い代わりにコストがかかる。長期の株式インデックスでは、私はヘッジなしのオルカンで問題ないと考えている。為替は長期で見れば往復する要素だからだ。
オルカンとS&P500・他の全世界株式インデックスを比較

オルカンとS&P500は、分散範囲と過去リターンで性格が異なり、どちらが正解というより好みの問題だ。
ここが多くの人の本当の悩みどころだと思う。正面から比べる。
オルカンとS&P500のリターン・リスク・信託報酬の比較
| 項目 | オルカン(全世界株式) | S&P500(米国株式) |
|---|---|---|
| 投資対象 | 日本を含む全世界の株式 | 米国の主要企業 |
| 米国比率 | 約6割 | 100% |
| 過去のリターン傾向 | S&P500より低めの局面が多い | 近年は高め |
| 分散の広さ | 広い | 米国に集中 |
| 性格 | 国の偏りを避けたい人向け | 米国の強さに賭ける人向け |
私の立場をはっきり言えば、迷ったらオルカンでいい。米国の強さを確信できるならS&P500、確信が持てないなら分散のオルカン。それだけの違いだ。
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンの違い
楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンは中身が近い全世界株式ファンドで、選ぶ決め手はコストと使う証券会社だ。
どちらも低コストで、正直そこまで神経質になる差ではない。楽天証券をメインで使い楽天ポイントを重視するなら楽天オルカン、それ以外の証券会社ならeMAXIS Slimという選び方で十分だ。
SBI・雪だるまやTracersなど他の全世界株式との比較
全世界株式はオルカン以外にもSBI・雪だるまやTracersなどがあり、指数やコストにわずかな違いがある。
選択肢が増えたのは良いことだが、どれも低コストの全世界株式で、初心者が乗り換えを繰り返すほどの差ではない。私は「純資産が大きく、コストが最安水準」の1本を選んで積み続ける派だ。
構成指数(MSCI ACWI)と小型株を含む指数の違い
オルカンはMSCI ACWIという指数に連動し、超小型株までは含まないのが特徴だ。
一方、FTSEグローバル・オールキャップ系の指数は小型株まで広く含む。「オールキャップ」は大型から小型まで全部という意味だ。カバー範囲は後者が広いが、大型・中型が中心のリターンに大差が出にくいのも実際のところだ。
新NISAでのオルカンの具体的な使い方と出口戦略
新NISAではオルカンをつみたて投資枠で自動積立し、余力があれば成長投資枠でも同じオルカンを買うのが素直な使い方だ。
買うと決めたら、次は「どの枠で・いくら・どう取り崩すか」だ。ここは競合記事が薄いので厚く書く。
つみたて投資枠・成長投資枠での使い分け
オルカンはつみたて投資枠でも成長投資枠でも買えるため、枠をまたいで積み立てられる。
基本は、つみたて投資枠で毎月自動積立を設定して放置。それでも枠が余るくらい入れられる人が、成長投資枠でも同じオルカンを買う。無理に商品を分ける必要はない。同じオルカンで枠を埋めていい。
積立額・期間別のシミュレーション
月々の積立額と期間を決めれば、将来の目安は複利で計算できる。
ここで具体的な将来金額を断言するには、想定利回りを置く必要がある。利回りは未来を保証しないので、私はあえて確定金額の表を作らない。代わりに考え方だけ示す。
- 積立額を上げるほど、また期間を延ばすほど、複利の効きは大きくなる。
- 利回りは前提でしかなく、想定より上下する前提で見積もる。
- 分配金を出さず再投資するタイプは、複利がそのまま働きやすい。
取り崩し方法(4%ルール・定率/定額)の考え方
取り崩しには、毎年一定割合を引き出す定率と、毎年一定額を引き出す定額の考え方がある。
4%ルールは、資産の4%程度を年間の取り崩し目安にする有名な考え方だ。定率は資産の増減に合わせて引き出す額が変わるため資産が長持ちしやすく、定額は生活設計が立てやすい反面、暴落時に資産を削りやすい。
