円高がオルカンに与える影響とは?下がる理由と対策を徹底解説
- 円高でオルカンの基準価額が下がるのは、外貨建て資産を円に換算した価値が目減りするため。
- オルカンは中身の約6割が米ドル建てで、実質的に外貨資産の性質を持つ。
- 為替は基準価額を動かす要因のひとつにすぎず、長期では株価そのものの成長が主役。
- 円高で下がったときの基本方針は「積立を止めず、続けて買う」。
- 一番の失敗は狼狽(ろうばい)売りと積立停止で、これだけは避けたい。
円高がオルカンに与える影響とは?結論を先に解説

円高になるとオルカンの基準価額は下がりやすくなります。これはオルカンが海外の株式を中心に持ち、その価値を円に直して表示しているからです。
オルカンの正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。世界中の株にまとめて投資できる投資信託です。中身の大半は外国株なので、価額は「株価」と「為替」の両方で動きます。
円高でオルカンの基準価額が下がる理由
円高とは、円の価値が上がって外貨の価値が下がること。たとえば1ドル150円が140円になる動きです。
オルカンが持つ米国株は「ドル」で値段がついています。株価がドルで変わらなくても、円に換算するときのレートが150円から140円になれば、その分だけ円での評価額は目減りします。
具体的に言うと、1株100ドルの株は150円のとき15,000円。これが140円になると14,000円。株価は1ドルも動いていないのに、約6.7%下がる計算です。これが「円高でオルカンが下がる」の正体です。
円安で基準価額が上がる理由
逆に円安になれば、同じ理屈で基準価額は上がります。1ドル140円が150円になれば、100ドルの株の円換算は14,000円から15,000円へ。株価が動かなくても円建ての評価額は増えます。
2023年から2024年にかけてオルカンが好調だった背景には、株価上昇だけでなく円安の追い風もありました。この「上げ底」があった分、円高に振れると反動で下がって見える、という点は覚えておきたいところです。
為替はオルカンが上下する要因のひとつ
ただし、為替はあくまで基準価額を動かす要因のひとつにすぎません。主役は投資先企業の業績や世界経済の成長です。
オルカンの通貨構成と円高の影響度の違い
オルカンは中身の6割以上が米ドル建てのため、ドル円の動きに最も強く反応します。
「全世界」という名前から通貨も分散していると思われがちですが、実際は米国株の比重が高く、通貨構成もドルに大きく偏っています。ここは正直、名前のイメージとギャップがある部分です。
米ドル・ユーロなど通貨別の構成比率
オルカンの国・地域別構成では、米国が全体の約6割を占めます。次いで日本、イギリス、フランスなどが続きます。つまり為替の影響としては、ドル円が圧倒的に効き、次にユーロ円やポンド円が効くという順番です。
最新かつ正確な構成比率は、運用会社の月次レポート(マンスリーレポート)で必ず確認してください。構成は毎月見直され、数字は変わります。
円高がどの程度基準価額を押し下げるかの試算
為替だけが動いた場合の影響を、単純化して試算してみます。前提は「株価はドルで一切動かず、ドル建て資産が全体の6割」というモデルです。
| ドル円の動き | ドル建て部分の変化 | 全体(6割分に反映)への概算影響 |
|---|---|---|
| 150円→145円(約3.3%円高) | 約-3.3% | 約-2.0% |
| 150円→140円(約6.7%円高) | 約-6.7% | 約-4.0% |
| 150円→135円(10%円高) | 約-10% | 約-6.0% |
ざっくり言えば、10%の円高で為替要因だけなら全体で6%前後の下押し。これはあくまで私が置いた仮定での目安であり、実際は残り4割の他通貨や株価の動きが上乗せ・相殺されます。それでも「為替がどれくらい効くか」の肌感覚はつかめると思います。
オルカンはすでに外貨資産の性質を持っている
見落とされがちですが、オルカンを買った時点で、あなたはすでに外貨に投資しています。
つまり「円高が怖いから別の外貨資産で分散」という発想は、オルカン保有者にとってはややズレています。むしろ問題は逆で、資産全体が外貨(ドル)に偏りすぎていないか、という視点のほうが実務的に大事です。
過去の円高局面でオルカンはどう動いたか
2024年は、日米の金利差をめぐって為替が短期間で大きく振れ、オルカンの基準価額も為替に振り回された年でした。
実際の値動きを振り返ると、為替がいかに一方向に決めつけられないかがよく分かります。
2024年7月:日米金利差で円高に振れた例
2024年7月から8月にかけて、日銀の利上げ観測とアメリカの利下げ観測が重なり、為替は急速に円高へ動きました。ドル円は7月に一時161円台をつけた後、8月上旬には一気に円高が進み、世界的な株安も重なってオルカンの基準価額も大きく下落しました。
このときの下げは「株安」と「円高」のダブルパンチでした。私も口座を見て評価額の減り方に一瞬ひやっとしましたが、積立はそのまま継続。理由は次の10月の動きを見れば分かります。
2024年10月:一転して円安基調になった例
8月に急落した相場は、その後数週間で大きく戻しました。為替も10月にかけて再び円安方向へ振れ、8月の底値近辺で慌てて売った人ほど、戻りを取り逃す結果になりました。
この短期間の往復が示す教訓ははっきりしています。為替の底や天井を当てにいく取引は、ほぼ勝てません。
1990年代からの長期円高トレンドの検証
より長い目で見ると、1990年代からドル円は円高・円安を何度も往復してきました。1995年前後には1ドル80円台をつける歴史的な円高もありました。
ここで正直に書いておきたいのは、オルカン(現行の商品)は2018年設定で、1990年代の円高を実際にくぐってはいないという点です。過去の超円高を持ち出して「オルカンはこう動いた」と語るのは、事実として正確ではありません。
言えるのは、為替は数十年単位で大きく動く可能性があるということ。だからこそ、一度の円高に賭けず、時間をかけて買い続ける前提でつき合うのが現実的だと私は考えています。
円高でオルカンが下がったときの対処法

円高でオルカンが下がったときの最善策は、積立を止めずに続けることです。
為替の下落は、裏を返せば「同じ金額でより多く買える」局面でもあります。焦って動くより、淡々と続けるほうが結果的に有利になりやすい。
投資を継続しドルコスト平均法を活かす
毎月一定額を買い続けると、価額が安いときには多く、高いときには少なく買えます。これがドルコスト平均法で、平均の買値をならす効果があります。
円高で基準価額が下がっている今は、この「安く多く買える」局面。積立設定を触らず放っておくのが、いちばん手間なく効きます。
余裕資金があれば買い増しを検討する
生活防衛資金(当面の生活費)を別に確保できているなら、下落局面での買い増しは選択肢に入ります。私も過去の下げでスポット購入を足したことがあります。
ただし、無理は禁物。買い増しは「あくまで余っているお金で」が鉄則です。下がると思って全力で買った直後にさらに下げる、というのは普通に起きます。
リスク許容度を再確認する
含み損を見て眠れないなら、それはリスクを取りすぎているサイン。金額の問題より、自分がどこまでの下落に耐えられるかを見直すタイミングです。
具体的には、「資産が3割減っても積立を続けられるか」を自問してみてください。無理そうなら、投資に回す金額そのものを見直したほうが健全です。
「為替ヘッジあり」も選択肢に入れる
為替の上下をどうしても避けたいなら、「為替ヘッジあり」のファンドという手もあります。ヘッジとは、為替変動の影響を打ち消す仕組みのことです。
ただし、ヘッジにはコストがかかります。日米の金利差が大きいほどヘッジ費用は高くなり、その分だけ長期リターンを削ります。正直、長期でコツコツ増やしたい人にはヘッジなしのままで良い、というのが私の立場です。円高が「怖い」だけでヘッジありに乗り換えるのは、あまり勧めません。
| 項目 | 為替ヘッジなし(通常のオルカン) | 為替ヘッジあり |
|---|---|---|
| 円高の影響 | 受ける(下がる) | 抑えられる |
| 円安の恩恵 | 受けられる | 受けにくい |
| コスト | 為替ヘッジ費用はかからない | 金利差に応じた費用がかかる |
| 向く人 | 長期でコツコツ増やしたい人 | 短中期で為替変動を避けたい人 |
円高時に個人がやってはいけないNG行動
円高局面で最もやってはいけないのは、含み損に驚いての狼狽売りと、積立の停止です。
この2つは、私が見てきた中でも「後から一番後悔されやすい行動」です。理由を順に書きます。
含み損に驚いて狼狽売りする
為替は往復します。2024年夏の例のとおり、円高で急落しても数週間で戻ることは珍しくありません。安値で売れば、その戻りをまるごと取り逃します。
含み損は、売らない限り確定しません。画面上の赤字は「まだ負けが決まっていない状態」です。
積立を止めてしまう
下がったから怖くて積立を止める、というのはドルコスト平均法を自分から捨てる行為です。安く買えるチャンスをわざわざ手放すことになります。
止めるほど不安なら、止めるのではなく金額を少し減らす。ゼロにするのと減らすのは、まったく別の判断です。
含み損への心理的な向き合い方
私がやっているのは、口座を見る頻度を意図的に減らすこと。毎日見ると為替の上下に心が引っ張られます。月1回のマンスリーレポート確認くらいでちょうどいい。
円高に強い資産全体の設計と分散投資
本当に確認すべきは、オルカン単体ではなく資産全体の通貨配分です。
オルカンだけを見て「外貨に偏っている」と不安になるより、家計まるごとで為替をどれだけ抱えているかを見たほうが、判断の精度が上がります。
確認すべきは資産全体の通貨配分
預金がほぼ全部円で、投資はオルカンだけ、というよくある構成を考えます。この場合、資産の大半は円で、投資部分を通じてドルにも一部触れている状態です。
つまり多くの人は、思っているほど外貨に偏っていません。円高で不安になる前に、まず自分の円と外貨のざっくり比率を出してみることをすすめます。
家計全体(給与・住宅ローン)で為替を捉える
日本で働き、給料を円でもらい、円で生活する人にとって、生活基盤はほぼ円建てです。だから資産の一部を外貨(オルカン)で持つことは、むしろ円だけに偏るリスクの分散になります。
住宅ローンも円建ての負債です。円の価値が長期で下がる(円安が進む)局面では、外貨資産を持っていたことが家計を守る側に働くこともあります。円高だけを恐れるのは、家計全体で見ると片側しか見ていない状態です。
目的とリスク許容度に合うポートフォリオの作り方
ポートフォリオ(資産の組み合わせ)は、次の順で決めると迷いにくいです。私も基本この順で見直しています。
- 投資の目的と使う時期を決める(老後資金か、10年後の教育費か)。
- 自分のリスク許容度を把握する(何割下がっても続けられるか)。
- 目的とリスク許容度に合わせて、投資に回す金額と現金の比率を決める。
オルカン1本でも十分に分散は効いています。付け足すなら国内債券や現金など、株と違う値動きをするものを混ぜるのが分散の基本です。
新NISAでオルカンを保有する場合の円高時の注意点

